森のようす

みなさんは、森林が好きですか?

ぼくは好きです。

みどり色、空気や香りが好きです。
 
森林とは、木がたくさん集まったところですね。
木は、ヒトがむかしから火を使うときに、かならず必要なものでした。
食べ物を煮たり焼いたり、暖かさをいただく火にとって、薪(まき)や炭(すみ)として生活になくてはならないものでした。

ガスや電気のない時代までは、そのような森林との暮らしだったのです。


お家や建物などを建てるのも木ですから、日本は木の文化といっても良いほどです。
ヒトの人生より長く生きますので、神社などには木を植えて、鎮守(ちんじゅ)の森やご神木(しんぼく)ともしてきました。

 

鎮守の森などは、神社の新しいお宮を遷(うつ)し作るときにも必要で、掘立柱に萱(かや)の屋根という素木造の社殿の尊厳さを保つためにも20年ごとに遷すことがふさわしく、また伝統技術を継承するためにも合理的な年数だといわれています。

 

「法隆寺地域の仏教建造物」は、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。

その使われている木材は、世界で最も古く594年頃のものとも云われています。
(いろいろな説もあります)

 

森林は、たくさんの生き物が暮らす大切な場所です。
生き物たちにとって木の実や葉などは食べ物となり、いろいろな隠れ家にもなってくれたり、生き物たちの味方です。

そして、地球の空気をつくってくれたり、雨が降って山の斜面から土が崩れることを防いでくれたり、また雨などからの水をゆっくり移動させてくれたり、風から守ってくれたり、木そのものや根のある土に栄養をたくわえてくれる役割などもあります。

 

ヒトたちは、森林をヒトが利用しやすい「里山(さとやま)」として木を植えて、手入れをして、枝や木を切って使わせていただいたり、食べるきのこや、(化学肥料ができるまでは)田畑の肥料になる落ち葉などをもらったりしてきています。
  

森林は、空気の温度を保ってくれ、落ち着く香りがあることがわかってきました。

そのみどりは、ヒトたちにとって「心のいやしやリラックス」にもなることもわかってきました。

また、さらに木の家具やおもちゃなどは「ぬくもり」があり、心をやさしくすることもわかってきました。

 

森林も成長します。
みんなどんどん大きくなります。そのことを遷移(せんい)と呼びます。
みんなが大きくなって安定したことを極相(きょくそう)、またはクライマックスと呼びます。

 

ヒトは、現在、木の利用と、森林のもつ役割を大切に考えてきていると言えます。

 

 

北海道の森林

高山帯

日本の山岳地形のうち、森林限界以上の標高帯を高山帯と呼びます。

高山帯は その低温や積雪、強風といった厳しい自然環境によりハイマツなどの低木林があります。

本州では2500m級の環境ですが、
北海道では、ところにより700m級から見ることができます。
(写真:大雪山にて)

ハイマツ

高山帯を代表する植物です。

地面を這うように生きています。

凍えつく様子、樹氷です。

これから長い冬を迎え、雪の下敷きになって耐えて過ごします。

ダケカンバ(岳樺)

環境が厳しいため、ハイマツと同じくまっすぐに成長することができません。

推定寿命がわからないほどです。

 

針葉樹林帯
亜寒帯、亜高山帯とも呼ばれます。

北海道の高地では、エゾマツ、トドマツの針葉樹林帯が見られます。

エゾマツ、トドマツ、ダケカンバの極相の様子です。

エゾマツ
「北海道の木」にも指定されており、極北地方にあるトウヒの仲間です。

枝振りは下がります。
 

幹はザラザラしています。

トドマツ

トドマツは、モミの仲間です。

クリスマスツリーもこの仲間です。
枝振りは上がります。

幹はザラザラしていません。

倒木更新
(とうぼくこうしん)
特にトドマツ林などでは、朽ちて倒れた樹から栄養をもらって苗が育つ光景が見られることがあります。

北海道での落葉広葉樹林帯の様子です。
夏緑樹林帯、冷温帯、山地帯とも呼ばれ

特に北海道南部以南のブナ林は豊かな森の象徴とされています。

ブナは森の母とも呼ばれるほどです。
ほかにはミズナラ、ハルニレ、ケヤキ、カエデ類などが見られ、紅葉時期は美しいです。

 

ブナの木です。

自生の北限は北海道南部地方で、これは札幌にある北大植物園の木です。
まさに北限です。

ミズナラの木

白樺(シラカバ)

広葉樹の葉の様子

 

巨木
ヤチダモの木です。
推定樹齢300年以上と云われています。

(写真:能取半島にて)

冬のシラカバ林(人工単相林)

冬のカラマツ林(人工単相林)

道路や畑沿いに防風林としても植えられています。

吹雪の中のカラマツ林(人工単相林)

クマザサ

北海道やブナ林帯の林床や草原にはササ

が占めています。クマイザサ、ミヤコザサなどがクマザサと総称されます。
一般的に、多雪の日本海側ではチシマザサ、クマイザサ、チマキザサが、少雪の太平洋側ではスズタケや小型のミヤコザサがその位置を占めると云われています。

 

ダケカンバ林とクマザサ

冬の雪深さを思います。

一面のササ原です。

北海道開拓の厳しさを思います。

 


九州の森林

照葉樹林帯

暖温帯、低山帯とも呼ばれます。

常緑広葉樹で、シイ・カシ類が優先する森林となります。

 

照葉樹林帯で、上を見上げてみると樹冠(じゅかん)が重なり合っていないことがわかります。
日光を受けようと一生懸命なのですね。

照葉樹林帯の周囲には、マントと呼ばれる緑があり、林内は暗くなっています。

マントは冬には枯れます。

 

林内の様子です。

こちら照葉樹林帯では、日光が地面まで

届かないせいか、下草も少なく、ササもなく、落ち葉だらけといった感じです。

少し高山へゆくとブナやコナラといった落葉広葉樹林帯もあります。

ブナ林の再生地です。

1991年の台風により被害を受けました。

シオジ林です。

北海道では見られない竹林です。
これは孟宗竹で、タケノコがとれます。

どんどん広がっていて深刻な問題ともなっています。

スギヒノキ林(人工単相林)です。
下の黄色いのは収穫間近のお米です。

スギヒノキ林(人工単相林)です。

 

造材作業の風景です。

九州の神社などには、鎮守の森ご神木と呼ばれるむかしから大切にされてきている木があります。
クスノキが多いように感じます。

 

屋久島の縄文杉を除いた日本最大と呼ばれる巨木は鹿児島県にあるクスノキだそうです。

(写真:福岡県嘉麻市・鮭神社にて

 このクスノキは推定樹齢約700年)

オガタマノキのご神木です。

名前の由来は、神社などで神前にお供えして、神様や魂を招き寄せる「招霊」(おぎたま)が、「オガタマ」となまったものと云われています。

イチョウのご神木です。

古代銀杏と呼ばれるめずらしい木です。

長野県と当地の2本しかないそうです。

(写真:宮崎県高千穂町にて)

巨木

鬼杉

高さ約38m、胸高周囲12.5m、
推定樹齢1200年、福岡県内での最大最古の杉と云われています。
もちろん、むかしからの伝説もあり信仰対象であろうかと思われます。

(写真:福岡県添田町にて)


日本は、国土面積の約7割が森林です。

天然林と多くの人工林があります。

その割合は、4:6です。

とても森林資源が豊かな国なのです。

(先進国においてはフィンランド、スウェーデンに次いで、国土における森林率は第    3位と云われています。ちなみに世界の森林面積は、地球の陸地の約3割)

 

森林を切らないで守ったり、植えて回復させなければならないのは熱帯林の方が重要で、日本は、国内の森林の木材を活かすことが大切だとも考えられています。
 FAO(国際連合食料農業機関)「2010年世界森林資源評価(2010年3月発表)」によると新興国の環境意識変化による造林の実現、世界的な森林消失率の減少を認めつつも、「地球温暖化防止の視点からも森林減少が加速しないよう、各国は森林の保全と管理を強化しなければならない」ともしています。


当サイト「人たちのとりくみ」→「紅葉と人」も、あわせてご覧になられて下さい。

 

(参考資料:全国森林インストラクター養成講習テキスト選集改訂4版

      樹木医研修受講者選抜試験問題集 ほか)