さかな

みなさんは、魚が好きですか?
ぼくは見ることも、釣ることも、食べることも好きです。

新鮮なお刺身が好きです。お酒があると最高なんですよ。

(お酒は20歳を過ぎてから)

 

魚類は地球上のさまざまな水環境におり、その生息域は熱帯から極域(北極・南極)、海の表層から深層、また陸地の淡水域までたくさんあります。

そして、その生態や形態も様々です。

 

基本的に、一生の間、水中生活をして、えら(鰓)呼吸を行い、ひれ(鰭)を使って移動します。体の表面はうろこ(鱗)で覆われています。

 

魚類全体の種数は3万近くにものぼり、せきつい(脊椎)動物全体の半数以上を占めていると云われています。

 


ここでは、淡水魚について、お話してみます。

 

淡水魚の生活史は3つ

・純淡水魚~古来の川からずっと生息する貴重なさかなたち

      例:コイ、ナマズ、メダカ、カワヨシノボリなど
・通し回遊魚~川と海を行き来している大切なさかなたち

      例:サケ、アユ、シシャモ、ハゼなど
・周縁性淡水魚~海水と淡水が混じる汽水を必要とするさかなたち

      例:スズキ、ボラ、クロダイなど

に分けられます。
これらの種がフィールドに、どれくらい生息しているか?

流域の川のさかなたちを見つめる上で、とても大切なことになります。

 

川(淡水)と海(海水)を行き来するには、特別な能力が必要となります。

それは「漬け物の原理」と同じく、浸透圧(しんとうあつ)の調整です。

塩分の濃い方へ水は動くことです。

体の中の少しの塩分を一定に保つことが、とても命にかかわることになります。

 

 

上が海水魚のしくみです。

 

 

 

 

下が淡水魚のしくみです。


幼少体験

北海道オホーツク海に注ぐ一つの川。

ぼくたちは、この川にサケマスの稚魚が放流されているところで、よく遊びました。
春にはウグイやキュウリウオが産卵であふれ、夏にはカワセミが舞い、ヤマメやゴリなどと遊び、水量が少ないときには自転車で川を渡り(よいこはマネしないでね)、秋にはサケマスの産卵を眺めたり、追いかけると足をかじられたりもしていました。

初雪が降り、ハクチョウやワシたちなどがやってくる季節になると、川遊びは冬眠していました。
コンクリート護岸が進みましたが、この川の、この地点が忘れられない原風景です。

ここからさかなたちが好きになりました。


さけます人工ふ化放流事業

サケマスについては、国立研究開発法人水産総合研究センター北海道区水産研究所より、親魚の捕獲数、採卵数、稚魚放流数が公表されています。

 

平成27年度さけます人工ふ化放流計画
魚種 サケ サクラマス カラフトマス ベニザケ
地域 捕獲数
(尾)
採卵数
(千粒)
放流数
(千尾)
捕獲数
(尾)
採卵数
(千粒)
放流数
(千尾)
捕獲数
(尾)
採卵数
(千粒)
放流数
(千尾)
捕獲数
(尾)
採卵数
(千粒)
放流数
(千尾)
北海道 1,295,300 1,210,860 1,032,100 13,305 10,570 7,555 381,000 170,000 135,900 210 210 150

 

 

とても勉強になるウェブサイトです


さけます人工ふ化放流事業の主な流れ~ヒトの手で


産卵期のオスの顔


 

自然産卵後の様子~自然に還る

 


サケ科のなかまたち

淡水と海水を行き来する代表的な種類、サケ科についてのお話です。

 

サケ科は、現在、世界で11属、約66種以上に分類されています。

ぼくたちに親しみ深いサケ科のなかまたちを紹介してみます。

 

通常、ぼくたちがサケと呼んでいるのは、標準和名で「シロザケ」のことです。

 

シロザケの仲間となるサケ属には、カラフトマス(主にオホーツク海・近年商品名オホーツクサーモン、増殖対象)、北日本ではサクラマス(陸封型ヤマメ・増殖・養殖対象)、西日本ではサツキマス(陸封型アマゴ・増殖・養殖対象)、ニジマス(養殖対象・外来生物法適用外)、陸封型ヒメマス(ベニザケ・増殖・養殖対象)などが含まれます。これらもサケ属なのですが「マス」と総称され、特に寿司ネタや焼き鮭弁当などに登場するサーモンとは、ノルウェーやチリなどで海中養殖されている改良ニジマスやアトランティック・サーモン(大西洋サケ)であることが多いです。丁寧にトラウトサーモンと店頭陳列されることもあります。

 

 

 

カラフトマス

主にオホーツク海にいます。

ほぼ2年で母なる川に帰りますが、サケとは異なり、その正確性は約50%に満たないと云われています。
そこには隠された戦略があると云われています。

 

サクラマス(ヤマメ)

日本海、オホーツク海に多く生息します。
川の上流でふ化した2年目の春、メスと成長のおそいオスが、銀色になり、海をめざして大きく成長して、数年後、川に帰ってきます。

川に残るさかなをヤマメと呼びます。

 

春に海から帰ってくるため、また、身がさくら色のため、サクラマスと名付けられたと云われています。
秋の産卵期まで滝を越え、淵にひそみ、上流をめざします。

 


 

 

これは、西日本における(海に降りる)サツキマスと(川に残る)アマゴと同じ関係です。

 

ニジマス

虹鱒と書きます。

英語でもレインボートラウトと呼ばれます。

北海道では自然分布や産卵をしていますが、外来種です。
要注意外来生物に指定されています。

釣り人にも人気ですし、日本各地で養殖などもされている親しみのある魚です。

 

このニジマスを改良した海中養殖の身を

日本は、主にチリやノルウェーなどから輸入して食べておりますので、サーモンというネタは、ニジマスということになります。(アトランティック・サーモン(大西洋サケ)の場合もあります)

 

サケ属の外には、
イトウ属があり、現在、北海道のみに野生棲息するイトウは環境省絶滅危惧ⅠB類<近い将来における絶滅の危険性が高い種>となっています。

寿命20年以上1mを超える国内最大の淡水魚で、おもに河川の上流から沿岸域までの広い豊かな自然環境を必要としています。

最新のカウント計などの計測機器や河川DNAを用いられた研究や、河川遺伝子保全からの人工授精も進んでいますが、保護に向けた法整備が強く求められているところです。

アイヌ語では「チライ」と呼ばれます。
 イトウ

 

 

イワナ属があり、本州以南の渓流にはイワナ、北海道ではアメマスやオショロコマ(北極イワナの仲間)が含まれます。

 

アメマス

主に河川にいますが、湖沼、また沿岸にも生息しています。

 

北海道各地にはこのアメマスが登場するアイヌ伝説もあります。

 

オショロコマ

北極イワナの仲間で、日本では北海道の渓流にのみ生息します。

アイヌ語の意味では「尻・それによって・泳ぐ」だそうです。

もっとも冷水を好みます。

北海道ではアメマスとあわせてイワナと

総じて呼ばれることもあります。

温暖化による生息地減少が課題になってくると予測されています。

 

写真は、調査研究時に撮影したもので、麻酔をかけています。
上の大きな3個体がオス、下の丸い体型の3匹がメスです。

この動画は、調査研究時に当時8mmフィルムで撮影したものです。

 

ブラウントラウト

外来種で、現在、日本各地の湖沼河川に生息しています。

クラシック曲、シューベルト作曲「鱒」とはこの種ではないか?と推測されています。サルモ属であり、今後、北米にて遺伝子組み換え養殖の対象となる大西洋サケ(アトランティックサーモン)が含まれます。


北日本サクラマスの産卵行動

撮影地:北海道湧別川本流 9月22日


サケの食文化

日本では、新巻鮭、切り身、石狩鍋、飯寿司、冬葉(とば)、氷頭(ひず)、めふん、筋子漬け、イクラ漬けなどと、古くからサケたちを食べる文化があります。特にアイヌの方々の利用文化は皮なども余すことなく、特別な恵みです。


九州・遠賀川のサケ

 

九州の遠賀川(おんががわ)は、日本におけるサケが母川回帰する最南端の川といわれています。

 

古くからサケが見られる川だったようですが、炭坑などからの廃水によりサケの遡上が途絶えてしまったのだそうです。

しかし、昭和53年に再びサケが帰ってきました。

 

当地には約1200年の歴史を誇る「鮭神社」があり、例年12月13日の献鮭祭(けんけいさい)があります。このときは北海道などからも鮭が献上されます。

今でもサケに生かされてきている北海道、それよりも古くから神の使者として記録を定め、神社で神様として敬まってきている九州の地と人々。

こんな遠いところまで回帰してくるサケもスゴイですが、累々(るいるい)と神社を守り続けている地域やご関係者の人たちの心や動き、生活文化の暮らしもスゴイですね。

今まで殺生してきたサケたちへの供養と、川の美化と、サケのいのちたちが少しでも自然体に近く未来へ受け継がれることを願いました。
 

(※鮭神社は、佐賀県にも一カ所あると云われています)

 

炭鉱の町に、伝説のサケが帰ってきた!

北九州・筑豊を流れる遠賀川のサケ伝説。

「 ぼくたちの川にいのちをとりもどそう」と、

清らかな流れを取りもどすために奮闘した 小学生を中心とする

いのちを育んだ人々の実話。

倉掛晴美(著),いのうえしんぢ(イラスト)
下の動画は「育まれる命と心」(遠賀川サケの遡上)です。