どうぶつ


消えたどうぶつ

オオカミ
むかしは日本全国にいました。

北海道では開拓や暮らしに危険やじゃまなため明治時代に絶滅させられました。

オオカミがいなくなって、シカが増えたという説もあり、また外国から来てもらおうとする意見もあります。

(写真:北大植物園にて)

 

 

本州の山間部を中心に狼信仰が存在します。オオカミを「大神」と当て字で表記していた地域も多く、アイヌ文化ではエゾオオカミを「大きな口の神(ホロケウカムイ」「狩りをする神(オンルプシカムイ)」「ウォーと吠える神(ウォーセカムイ)」などと呼んでいたようです。

カワウソ

むかしは全国のさかなたちがたくさんいる豊かな川や海岸で暮らしていました。
1975年愛媛県で保護されたのが最後と云われています。
もしかすると、まだどこかにひっそりと生きているかも知れません。

 

クマ

世界でもっとも強いどうぶつの一種かも知れません。
北海道にはまだまだヒグマがいますが、(アイヌ文化ではもっとも崇められるカムイ)2012年、九州のツキノワグマは絶滅したと発表されました。
  (写真:九州・祖母山登山口にて

    2013年6月撮影)

 

野生どうぶつの種が絶滅してしまうのは、大きな問題です。

どうして、強いどうぶつや、たくさんのえさを食べるどうぶつがいなくなってしまったのでしょうか?
きっと敵を倒したり、逃げたり、助け合ったり、頭もよいはずなのに・・・

どんなに自然を豊かに戻しても、絶滅してしまったどうぶつたちは戻ってきません。


 また、外国からオオカミを連れてくると、ヒトと自然はうまくゆくでしょうか?

再びオオカミに来てもらおうというのは、明治時代に絶滅となった北海道での一部の声だけではなく、ニホンオオカミがいた九州のとある市でも議論されていることです。これは全国的にもめずらしい動きです。

 


ふえるどうぶつ

シカ

北海道ではエゾシカが、本州・四国・九州ではニホンジカが増えています。
たくさん増えて、えさが足りないので、木の皮を食べたり、農作物を食べたりします。
特にニホンジカは、近年25年で約10倍にも増えており、とても深刻です。

 

ヒトが計画して許可した分だけ、鉄砲でうったり、囲いワナに入れます。

 

 

北海道におけるエゾシカ対策では、特に被害の大きい道東地区に侵入防止フェンスを設置しています。

この図の赤線総延長は2600kmにもなります。

左図「エゾシカ侵入防止柵の整備状況図」
北海道庁環境生活部環境局生物多様性保全課HPより

北海道にある大学では、エゾシカ学という学問が研究されています。

 

自然環境や文化、捕獲、飼育、生産、加工、製品開発、販売など幅広い分野をみんなで手をつないでいくことが大切であると述べられています。

 

イノシシ
本州・四国・九州で増えています。
たべものが足りなく、農作物を食べたり、田畑を荒らしたりします。
シカほどの増加はないのですが、被害が大きくなっています。

ヒトが計画して許可した分だけ、鉄砲でうったり、ワナを仕掛けたりします。

 

 

九州では、電気柵やフェンスを設置して被害防止を図っているのですが、なかなか大きな効果が見られず、農家さんたちの生産意欲をうばっています。

大切なお米や野菜などが作られなくなるということです。
食料問題だけではなく、集落の衰退、田畑や里山の荒廃など、従前の生物多様性の低下を招くことにもつながります。

 

シカやイノシシが増えるのは、つぎのような背景があると云われています。

・北海道のエゾシカについては、越冬するときの雪が少なくなった。

・各地ではヒトが里山や山間部から離れたり、放置するようになった。

・特にシカにおいては過ごしやすい日当たりのよい場所が増えた。

・狩猟者(ハンター)が高齢化し、駆除するヒトが少なくなった。

・エゾシカとイノシシは食べる風習は少しあっても、ニホンジカは、あまりない。

・撃ったあとに処理する建物や設備などがない。
 などだそうです。

ほかには、どんなことが考えられるでしょうか?

 

むかしのように自然の恵みとして、食べる必要な分だけ「いのち」をいただくという時代ではなくなっているようです。
現代では、野生動物の肉を珍味に終わらせることなく、ジビエブームが普及し、さらに気軽でおいしく一般家庭でのテーブルミートとして定着するようになると良いのかも知れません。

 

アライグマ

外国からやってきたどうぶつです。

はじめは、かわいいペットとして飼われていましたが、とても凶暴だったり、逃げたりして自然の中で増えています。
農作物なども食べてしまいます。

 

 


世界のサルではもっとも北にまで分布する(下北半島)ニホンザル、特別天然記念物にも指定されているニホンカモシカも近年、増えていると聞きます。

 


ヒトと野生動物との距離感

北海道でのキツネのケースです。
キタキツネはかわいいですね。
春から夏、子育てをしているときの親は

とくにたくさんのエサをとります。
ときに、道路は開かれた明るいところでエサもとりやすいのかも知れません。

道路に出てきたキツネはかわいいです。

持っているおやつをあげたくなります。

もし、だれかが一度あげてしまうと、そのおいしさと、ヒトはご飯をくれる存在になって、道路や観光地になついてしまいます。次の車からはもらえるかな?
そんなくりかえしをしているうちに、親キツネは交通事故にあってしまいます。

ヒトの食物は消化にもよくありません。
キツネはヒトにとって危険な寄生虫も持っています。どちらにも不幸です。


世界自然遺産・知床でのケースです。
観光カメラマンなどがクマを見たくて、たくさんやってきます。車から降りて撮影する人も後を絶ちません。
場所と場合によって、クマはヒトを恐れなくなりました。やがて地域の街に現れたり、作物やゴミをあさったり、ヒトとの暮らしの中で危険な状態となります。
そうしたクマは射殺されてしまいます。

(写真:撮影者提供)

北海道にはヒグマ、本州以南ではツキノワグマが生息しています。
クマは、地域や四季、年齢や性別などにより性質や行動が多様化しており、学習能力がとても高いと云われています。


どうぶつたちのことを知らんぷりしたら良いのでしょうか?
自然環境の変化や、ヒトとの暮らしの中で、どうぶつたちと仲良く生活するためには、どういうことが必要でしょうか?

自然環境においてはシカなどが増えすぎて困る、またオオカミに来てもらって減らそうと考えてみたり、危険な動物はいなくなってしまえ、もっとおいしいお肉を食べたいから、おいしい家畜が欲しいと云ってみたり、野生動物と家畜は違いますが、同じどうぶつたちのいのちなのに、ぼくたちヒトは云うことが勝手だなあと思います。

 

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